鮮度保存技術

「無酸素海水シャーベット氷」による冷却の特徴

一般的な氷による冷却の特徴
(旧来の方法)


一般的なブロック氷では、氷が硬いがゆえに魚体に無数の傷がつく。また、粒径が大きく温度も高いため冷却が遅く、魚体の表面は冷えても、芯温が下がらず0以上になることが多い。このため、魚体の品質を劣化させる乳酸の発生が多いほか、マグロやシイラ、ブリ等の大型魚では身焼けの発生が多い。シラス、キビナゴ等の超小型魚は氷との接触面積が小さくなり冷却に適さない。

 

 

 

一般的な海水シャーベット氷による冷却の特徴
(現在導入が増えている技術)

海水シャーベット氷は、文字通りシャーベット状で柔らかいため、魚体を傷つけること無く冷却・輸送することが可能である。海水シャーベット氷は粒が小さくマイナスの温度(-2℃)を有する。この氷で活け締めすると魚は即死し、しかも芯温0°C以下まで極めて短時間で冷却される。その結果乳酸が溜まらず、体内に血が廻ることなく理想的な活け締めを実現できる。 温度が低いため腸炎ビブリオ菌や大腸菌の繁殖することもなく、長時間の鮮度保持が可能である。

 

無酸素海水シャーベット氷による冷却の特徴

魚の鮮度が低下する要因を分析すると、主に血液や油脂分の酸化と腐敗(好気性細菌の増殖)による変色、異臭(酸化臭・腐敗臭)の発生、変質(硬化・軟化)、食味・食感の悪化がある。鮮度低下の多くは、酸素があることによる酸化・腐敗(好気性細菌の増殖)となっており、「真空パック」や「酸化防止剤」の使用なども、まさに酸素をなくすことにより、長期保存を可能としている。
これらの脱酸素技術は、陸上での加工場等での使用は海産物においても有効だが、実際に漁獲を行う海上の漁船での使用は、物理的に困難な状況にあり、鮮度低下の早いシイラ等は、漁獲後水揚げまでの間に鮮度が低下してしまっていた。
また、従来からの(有酸素の)海水シャーベット氷による冷却は、冷却はできても酸化による鮮度落ちは防止できず、特に大型魚においては芯温が十分に下がらずに身焼けが生じることもあった。
一方、本事業で導入する無酸素海水シャーベット氷による冷却は、上記の課題を解消する画期的な冷却方法である。まず酸素が存在しないため、魚は一瞬で窒息し、即死する。これまでシイラなどの大型魚は、漁獲後も大変暴れるため筋肉に乳酸が溜まり、その結果味が落ち商品価値がなくなり廃棄することもあった。しかし無酸素海水シャーベット氷による冷却では、誰でも簡単に大型魚を即殺(活け締め)でき、鮮度保持が可能になる。

④低酸素ウルトラファインバブル海水の使用

「低酸素ウルトラファインバブル海水」を使用することで従来よりも長い期間、魚の鮮度を保つことができます。
窒素発生装置で生成された窒素と給水した海水(塩水)を微細化混合すると窒素ウルトラファインバブルが生成されます。
液体に窒素を混合することで、窒素置換法により液中の溶存酸素濃度が少なくなります。
溶存酸素が極限まで少ない低酸素水をナノ・フレッシャーは、生成します。